ふたたびいわきサイエンスカフェ②
次に、いわき市四倉町の魚屋さん、大川魚店(うおてん)の副社長、大川勝正さんにお話を伺いました。
■売上げは震災前の7〜8割に
うちは小売業。いわきの魚屋らしく、夏はカツオやウニの貝焼き、冬はさんま。鮮魚、自家製の粕漬け、干物なども扱って、東京や関西の百貨店でも地魚やギフトを販売していました。店は地震と津波の影響で休業しましたが、2011年の7月に再開しています。
現在は、県外、外国産の魚を中心に販売しています。福島県北部の相馬での試験操業は、週1回行なわれていますが、海が時化たらその日の水揚げはなく、ごく少量の魚しか、水揚げされていません。しかもそのほとんどは相双地区で消費されているので、いわきに回ってくるのは、月に数回程度。そんな試験操業も、相馬は中断、いわきは延期になってしまい、これからどうしようかと考えています。
現在は、県外、外国産の魚を中心に販売しています。福島県北部の相馬での試験操業は、週1回行なわれていますが、海が時化たらその日の水揚げはなく、ごく少量の魚しか、水揚げされていません。しかもそのほとんどは相双地区で消費されているので、いわきに回ってくるのは、月に数回程度。そんな試験操業も、相馬は中断、いわきは延期になってしまい、これからどうしようかと考えています。
震災前は、地魚、県外産、外国産の魚を、バランス良く仕入れていたのですが、今はそれができません。外国産の魚も高くなっていて、仕入れが難しい。いわきならではの季節感ある商品が出せなくて、通年同じような売場になってしまいがち。それも店の運営を難しくしているところです。
←2012年1月の四倉漁港の様子
現在は撤去され、周囲の工事が進んでいる。
震災直後、魚の消費は減ると思っていましたが、いわきでは、ふだんからよく魚を食べる方が多いので、お刺身やお寿司を中心に、売上げは7〜8割に回復しています。それもいわきに避難地域の方々が来て、人口増加した上での数字。そこへ汚染水漏れのようなセンセーショナルな報道があると、6割ぐらいに落ちてしまう。不安定な状態が続いています。
震災からこれまで、心ない言葉を受けたのは事実です。
震災からこれまで、心ない言葉を受けたのは事実です。
とくに県外へ出ると風当たりが強くて、商品を投げられてしまったり、外国産の材料を使っていても「福島産」というだけで、払い戻しされることは、よくありました。百貨店の物産展で、前の日に商品を買ったお客様が来られて、「ダンナと息子が『福島のものなんか食えるか』と。だから返したい」。そういうことが1日1件ぐらいありました。こんな状況もあって、お中元やお歳暮の売上げは、震災前の約50%にとどまっています。
それでも決して悪いことばかりではなくて、熱心に福島を応援してくださるお客様もいます。それに対して魚種が少なくて、季節のものをご案内できず、お客様のニーズを満たすことができない。売場がマンネリ化して、応援しようというお客様も飽きてしまって、今、ちょっと引き気味です。
■消費者は2:6:2の3層に分かれる
■消費者は2:6:2の3層に分かれる
これは私自身が、日ごろお店に立ったり、仙台、関東、関西の物産展の売場で、なんとなく感じていることですが、お客様は、3つの層に分かれている。
福島を熱心に応援してくれているお客様は全体の2割くらい。6割は、買ってもいいし、買わなくてもいい。最後の2割はまったくイヤ。「汚染水漏れ」のような報道があると、福島のことを考えている客様にも、「買わない」という方が出てくる。
福島を応援してくださる方は、震災や原発事故、放射能についてもよく勉強していて、いろんな情報を得た上で、自分で判断して「いいよ」と買ってくださいます。
逆に拒絶する方も、応援する方と似ている。情報に対して能動的に徹底的に調べる傾向にある。小さいお子さんを抱えている方が多いですね。東電や国が出す数値は絶対に信用せず、悪い数値ばかり信用している。
福島を熱心に応援してくれているお客様は全体の2割くらい。6割は、買ってもいいし、買わなくてもいい。最後の2割はまったくイヤ。「汚染水漏れ」のような報道があると、福島のことを考えている客様にも、「買わない」という方が出てくる。
福島を応援してくださる方は、震災や原発事故、放射能についてもよく勉強していて、いろんな情報を得た上で、自分で判断して「いいよ」と買ってくださいます。
逆に拒絶する方も、応援する方と似ている。情報に対して能動的に徹底的に調べる傾向にある。小さいお子さんを抱えている方が多いですね。東電や国が出す数値は絶対に信用せず、悪い数値ばかり信用している。
中間の「どうしようかな」というお客様は、情報に関して受動的。たまに出る事故のニュースに「うわっ、大変だ」と反応して、またすぐ忘れてしまう。テレビの情報は聞いているけど、事故の本質はあまり知ろうとしない、そんな方が多いように思います。
今、うちでは、6割の情報に対して受動的なお客様にどうやって訴えていこうか。そこが今後の水産業や農業を回復させていくカギだと考えています。
今、うちでは、6割の情報に対して受動的なお客様にどうやって訴えていこうか。そこが今後の水産業や農業を回復させていくカギだと考えています。
■空間線量と合せて海水情報を

ここで、行政や報道機関の人にお願いしたいことがあります。
私にも小さい子どもがいるので、同じように小さいお子さんを抱えるお母さん方に聞いてみました。
今、基準値は100Bq/㎏ですが、小さい子をもつお母さんは、あまりその数字をいいと思っていない。もっと簡単な基準づくりをしてほしい。
福島県漁連も、50Bq/㎏を出荷基準としているようですが、やはり多くのお客様は、不検出を望んでいます。それでも少ーし、数値が出てしまうようなら、検出限界の値を統一してほしい。
やはり検査機や検査機関によって検出限界がバラバラでは、見ているだけでわけがわからなくなると。できれば、ひと桁代。例えば不検出と出たら、それは5Bq/㎏以下だよとか、わかりやすく統一していただきたいのです。
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