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2013年4月 6日 (土)

まっちゃんのイチゴ 〜山元町にて〜

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津波被害の大きかった宮城県山元町で、立派なイチゴができました。
渡邉正俊さん=この町でイチゴを作って40年。「まっちゃん」のイチゴです。
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私がはじめてまっちゃんにお会いしたのは、2012年の5月。
「たった1人でハウスを再建して、イチゴを作ってる人がいる」。東京でイチゴを販売している知人に、教えていただいたのがきっかけでした。
亘理町、山元町の沿岸部は、津波の被害が大きくて、産地を形成していたイチゴハウスは、大部分が流されてしまいました。イチゴの栽培には、資金と施設が必要で、苗を仕立てて収穫までたどり着くには、震災直後の夏から取りかからないといけないのです。 
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元のハウスのあった場所は、こんな状態。ハウスの骨組みパイプが、飴のようにぐんにゃり曲がっている。堤防の向こうに海があり、防風林をなぎ倒して集落を襲いました。
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自宅も流され、避難所ではボランティアの受付をして活躍。仮設住宅から津波の来なかった内陸の田んぼに通い、新しいハウスを建て始めました。
 当時は復興予算のメドも立っていなかった。だけどイチゴは適期を逃すと収穫が1年見送りに。見切り発車でパイプハウスを建て、怒濤の勢いで復興を目指しました。70歳を過ぎてるとは思えぬバイタリティ。
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だけどイチゴは、夏の間に苗を仕立てて植え付けないと、11月に始まる収穫に間に合いません。
「このイチゴの苗はどうされたんですか?」
地元で集めたけれど、とても数が足りない。栃木の産地へイチゴ仲間を訪ねると、農家さんが予備に仕立てていた「余り苗」を集め、譲ってくれたそうです。その数5600株。こうして実ったのがこのイチゴです。1年でここまで立ち直った人は、なかなかいません。
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←そんなまっちゃんが、町を案内してくれました。これは母校の山下第二小学校。津波に襲われて、いま子どもたちの声はありません。

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海岸沿いはまだ、津波の跡が生々しくて、防風林がなぎ倒されたまま。だけど手前の砂地には、緑の草が生えていました。住宅跡を回ったら、そこにジャガイモを植えている人もいる。

「ええーっ!。塩かぶったまんまなのに、生えてくるのかな?」

「草がおがって来んだから、芋だって生えっぺ」どこまでも強気なまっちゃん。

_0122改めて、去年の7月におじゃますると、またまたハウスを増設中。

「去年で15a、今年で30aになる。震災前の3分の2だ」。

 
_0093jpg最初に建てたハウスでは、着々と次のイチゴの準備が進行中。腰より高い位置に畑を持ち上げて、土に苗を植える方法を「るんるんベンチ」といいます。復興したイチゴ農家は、土を使わぬ養液栽培が多いのですが、まっちゃんは「やっぱり土でないと味が出ない」と、どこまでも土での栽培にこだわっています。
「なんでるんるんっていうんですか?」
「腰をかがめなくても、楽してイチゴが作れる。だからるんるん♪っていうんだべ」
土を入れたベンチの上を小さなトラクタが耕していきます。こんなちっちゃいの初めて見たー!
_0613そして今年2月、まっちゃんのハウスの横に、こんなのがついていました。
太陽光で温水を作る装置です。できた温水をハウスに流して、ベンチを温める。
ハウス栽培のイチゴは、冬の間燃料を炊いて育てますが、それを減らせるように、震災を機に仙台の企業が取り付けたものです。省エネでイチゴを作るための実証試験が始まっていました。
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近くでは、新しいハウスの建設が始まっていました。これは今年の冬から栽培を再開する人たちのための育苗ハウス。産地全体の復興も進んでいるようです。
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まっちゃん自身、2年間、仮設住宅からハウスに通ってイチゴを育ててきました。
山元町では、自宅を失ってもまだ移転や再建のメドが立たない人も多いのです。
「70歳過ぎたじいさんが頑張ってんだから、オレだって…」
若い人たちが、そう奮起するのを期待して頑張っているまっちゃん。
ハウス隣の作業場には、全国から寄せられた「しあわせの黄色いハンカチ」が、「がんばれー!」ってパタパタとはためいていました。

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コメント

渡辺さんの元気な様子、うれしく拝見しました。

おお、森田さん! コメントありがとうございます。
渡邉さん、「去年より今年の方がよくできた!」と納得のご様子でした。
ご自宅の再建や、産地としての復興等、まだまだ課題はあるようです。
パイプハウスと土耕のセットの方が再建は早いと思うのに、他はみんな養液のシステムを入れようとして、なかなか進まないようにも見えます。機会があったら、渡邉さんのハウス、一度覗いてみてください。

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