« 立ち上がるしいたけ | トップページ | 南相馬は、今 〜希望の牧場にて〜 »

2013年3月 5日 (火)

南相馬は、今 〜農家民宿にて〜

Photo

震災からもうすぐ2年を迎えようとしている2月、 初めて南相馬市を訪れました。 泊まった宿の裏山にはふきのとう。 浜通りに位置するこの地域には、福島県でもっとも早く春が訪れるのです。

Photo_3この日訪れたのは、鹿島区にある農家民宿「森のふるさと」。

農家の森さん夫妻が、ご自宅を利用して運営されています。

鹿島区には、そんな農家民宿が6軒あり、以前は都会から訪れた人たちが農作業を手伝ったり、裏山で山菜を採ったり。

「もうひとつ田舎ができたみたい」と、毎年のように訪れる人もいました。

Photo_5

これが朝ごはん。森さんの奥さんの手作りです。

お米は、もちろん自家栽培のコシヒカリ。ですが、震災前に収穫した22年産米でした。なぜなら南相馬では、23、24年とコメの作付けが制限されてしまったから。そして今年度の栽培も見送られてしまいました。土に含まれる放射性物質よりも、飯舘方面から流れる川の水の線量が、異常に高い。それが3年連続見送りの理由です。

以前は、お米を注文してくれたお客さんに、フキノトウや山菜を「おまけ」でプレゼント。「それがとっても喜ばれたんだ」とご主人。今はそれもできなくて、悔しそうなのでした。

だから今は、森さんは直売用にとっておいたお米を大事に保管して、食べているそうです。田んぼの再開はまだ先のよう。だけど野菜なら大丈夫なものもある。奥さんが「今年はタマネギを作ってみようと思う」と話していました。

Photo_7

「三好さん、かきもちって食べたことある?」と奥さん。「あの、お餅を砕いて揚げたのと違うんですか?」「それとはぜんぜん違うのよー。食べてみる?」「食べます食べます♪」。

そうして出てきたのがこちら。かき餅=柿餅。つまりお餅の中に、干し柿が練り込んであるのです。食べるとほんのり甘い。そしてこの地方特有のエゴマを混ぜた醤油を付けて食べると、ムチャムチャ美味いのです。これまた震災以前に作った干し柿と、知り合いから取り寄せた餅米で作ったそうです。

そんな心遣いもありがたい。やっぱり「もうひとつ田舎ができた」みたいな気持ちになれる場所です。

Map_2

ここで南相馬市の現状を、おさらいしましょう。北から鹿島区、原町区、小高区に分かれていて、「森のふるさと」は、一番北の鹿島区にあります。

政令指定都市ではないのに区があるのは、合併以前の地名を残したいという市民の想いの現われのようです。

南の小高区は今も「避難指示解除準備区域」に指定されていて、立ち入ることはできても、寝泊まりしたり、生活することができません。

海辺には、まだ津波の爪痕が残されていているエリアも多く、作付けできない田んぼには立ち枯れた雑草が残っていました。

福島県でもこのエリアは、温暖で雪が少ないので、都会暮らしの人も比較的移住しやすいスポットとして人気でした。

「定年後に移住したい」「サーフィンしたい」という人たちが多く、その下見や物件探しのために、農家民宿を利用する人も多かったそうです。何度も来るうちにすっかり気に入って、毎年のように来る人、定住先を見つけて南相馬の住民になった方もいます。

小高区の民宿は現在休業中。森さん夫妻のような、鹿島区の6軒の民宿が、震災後も営業を続けています。

Photo_8

この日、私が泊めていただいたのは、8畳のお座敷が2つ。神棚のある奥の間には、おひな様が飾ってありました。

広くて、おふとんでゆっくり眠れて、手作りの晩ご飯と朝ごはんがついて、1泊5500円。これはお得! いえいえそれだけではありません。Photo_9

さらにもれなくお話好きな森夫妻の四方山話も聞ける。これが私には何より得難い体験なのでした。

以前のように農作業体験や山菜採りはできなくても、農家民宿は南相馬の「いま」を知るには最適の場所。実際、私のような記者やカメラマン、ボランティアや支援の人たちもここに泊まって活動していたそうです。

Photo_10

南相馬では、これから小高区の除染や復興が本格的に始まります。津波の被害を受けた沿岸部では、「菜の花プロジェクト」も進行中。には、小高区の除染やガレキ撤去が本格化するのは、これから。ボランティアの手も必要です。

「とにかく今の南相馬を見に来てほしい」と奥さん。

南相馬はエリアによって状況がぜんぜん違います。農業の復興にはまだ時間がかかりそうだけど、地元の人たちは希望を捨てずに前進している。

私には現地を見て、話を聞くことしかできなかったけれど、「ここに泊まってよかった。また来よう」。そう思いました。

農家民宿へのお問い合わせは—

■南相馬市ふるさと回帰支援センター http://www.msouma-furusato.jp へ

« 立ち上がるしいたけ | トップページ | 南相馬は、今 〜希望の牧場にて〜 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 南相馬は、今 〜農家民宿にて〜:

« 立ち上がるしいたけ | トップページ | 南相馬は、今 〜希望の牧場にて〜 »

無料ブログはココログ